ここまで、包丁の選び方についていろんな要素を話してきました。
用途、形、サイズ、鋼材、価格。
いろいろ説明してきましたが、実際に皆さんがどんな包丁を選んでいるのかを見ると、ちょっと面白いことがあります。
三浦刃物店には、
オンラインで非常によく売れる商品と、
店頭で非常によく売れる商品
があります。
普通に考えれば、良い包丁ならどこでも売れそうなものです。
ところが実際には、かなり違います。
オンライン代表は、
景清 青紙一号 ステンレスクラッドダマスカス。
対して店頭代表は、
三浦 SG2 アラレ 黒檀ターコイズ八角柄。
景清 青紙一号
ステンレスクラッドダマスカス
三浦 SG2 アラレ
黒檀ターコイズ八角柄
この二つ、めちゃくちゃ違います。
- 鋼材も違う。
- 仕上げも違う。
- メーカーも違う。
- 価格帯も違う。
- サイズ展開も違う。
そのほとんどが違います。
では、なぜ同じ三浦刃物店なのに、オンラインと店頭でこれほど違う商品が選ばれているのでしょうか。
今回はこの二本について考えてみます。
オンラインで「勝手に売れる」景清
正直に言います。
オンラインで非常によく売れる商品について、従業員の間ではたまに、
「勝手に売れる商品」
みたいな扱いをしています。
もちろん本当に何もしなくても売れるという意味ではありません。
商品登録もしますし、写真も撮りますし、在庫管理もします。
何もしなくていいなら私たちも助かります。
ここで言う「勝手に売れる」というのは、
という意味です。
景清の青紙一号ステンレスクラッドダマスカスは、その代表格だと思います。
景清自体、海外の包丁コミュニティでもかなり知られた存在です。
さらに、鍛冶師、刃付け職人、ブランド、鋼材、仕上げ、ハンドル。
どこを見ても、包丁について知識がある人にとっては分かりやすく強い要素が並んでいます。
もちろん、インターネット上で語られている評判を全部そのまま信じるべきかどうかは別の話です。
ただ、カタログスペックだけを並べて見たとき、
かなり文句をつけにくい一本
なのは間違いないと思います。
- 切れ味も高い。
- 刃持ちもいい。
- 青紙一号という鋼材。
- ステンレスクラッドによって手入れの負担もある程度抑えられている。
- 仕上げも華やか。
- 作っている人たちの評価も高い。
文字通り「総合力が高い」包丁です。
もちろん、本焼のようなさらに高価な包丁もあります。
一つの要素を突き詰めれば、景清より上だと思う包丁もあります。
物としての希少性や工芸的な価値まで含めれば、さらに上の世界はいくらでもあります。
ただ、
一本の包丁としての総合力
で考えれば、そう簡単に負ける商品ではないと思っています。
そして、この強さはオンラインでも非常に分かりやすい。
対して、店頭で強い「アラレ」
では、アラレはどうでしょう。
三浦 SG2 アラレ 黒檀ターコイズ八角柄。
こちらもカタログスペックだけ並べれば、別に景清に負けているとは思いません。
- 鋼材はSG2。
- ステンレスなので錆びにくい。
- 槌目のアラレ仕上げ。
- 黒檀とターコイズを使った八角柄。
- サイズ展開も豊富。
製造しているメーカーも、包丁が好きな方なら知っている有名なメーカーです。
切り刃もかなり切れ味を意識した研ぎ方になっています。
価格まで含めて考えれば、私たちの中でもかなり評価の高いシリーズです。
だから店頭でも積極的におすすめしています。
ただ、オンラインでは景清ほど強くありません。
なぜなのか。
はっきり言ってしまうと、
特別秀でて見えるものがないんだと思います。
これは「性能が低い」という意味ではありません。
むしろ逆です。
一個一個を見るとかなり良い。
でも、その一個一個がインターネット上で単体で持っているパワーが、景清ほど強くない。
ここが大きいんじゃないかと思っています。
同じ「良い包丁」でも、売れ方は違う
ここが面白いところです。
景清は、商品ページに並んでいる情報そのものが強い。
一方アラレは、実際に私たちが見てもかなり良い商品なのに、その良さが同じようには伝わっていない。
つまり、
ということになります。
では何が違うのか。
考えてみると、単純に商品の知名度だけではなさそうです。
そもそも私たちは、オンラインで包丁を見るとき、書いてある情報を本当に同じように受け取っているのでしょうか。
次回はその辺をもう少し考えてみます。

